Q:トイプードルに3項目(PRA・vWD1・DM)以上の検査をするのは過剰ではないですか?
A:いいえ、決して過剰ではありません。
3項目だけでは、「危険」であると考えています。
現在、日本の多くのブリーダーが行っている「3項目の検査」は当たり前のことで、それだけでは防げない、多くの遺伝的リスクが潜んでいます。
「今はプードルには関係ない」とされている疾患でも、のちに関連性が判明するケースは多々あります。
包括的に検査し、あらかじめリスクを把握しておくことは、将来発生しうる疾患を未然に防ぐための、非常に有効な防衛策です。
当店では「3項目」という最低限のラインに留まらず、約330項目に及ぶデータを駆使し、「多様性を守りながら、発症リスクを極限まで抑える」という、世界基準の科学的ブリーディングを実践しています。
Q:キャリア(保因)の個体でも交配をして良いのですか?
A:はい、適切なパートナーとのペアリングであれば全く問題ありません。
「キャリア=病気」というのは誤解であり、キャリアとは「発症の可能性は低いが、原因遺伝子を一つ持っている」状態を指します。
適切なペアリングを行えば、理論上、子犬の発症リスクを限りなくゼロに抑えることが可能です。
キャリア個体をすべて排除してしまうと、犬種全体の遺伝的多様性が失われ、別の健康被害を招くリスクが高まってしまいます。
Q:犬種に関係がない項目まで検査しても意味がないのではないですか?
A:いいえ、非常に大きな意味があります。
Embark社が採用する約330項目の検査は、単なる病気チェックに留まりません。
毛色などの形質、遺伝的な多様性の指標、そして純血性の確認まで含んだ「総合診断」です。
現在、日本の一般的な検査は3項目程度ですが、トイプードルに関連する遺伝子疾患はすでに10項目以上判明しており、将来さらに増える可能性もあります。
「今分かっているリスク」だけでなく「将来起こりうるリスク」まで包括的に把握し、未然に防ぐことこそが、命を繋ぐ者の責任であると考えています。
Q:血統を重視した近親交配(インブリード)には、具体的にどんな弊害があるのですか?
A:見た目を追求する一方で、健康面での深刻なリスクを伴うことがあります。
近親交配を繰り返すと遺伝的な多様性が失われ、障害や奇形、致死率の増加、虚弱体質、そして新たな遺伝病の発現といった弊害が生じます。
業界の構造として、容姿の優れた個体は犬舎に残されますが、そうでない個体は一般の市場に流通することが少なくありません。
その結果、目に見えない健康上のリスク(負の遺産)を背負うのは、最終的に家族として迎え入れるオーナー様になってしまいます。
当店ではこうしたリスクを避けるため、科学的な数値(多様性係数)に基づき、生命力あふれる交配を徹底しています。
Q:病気のリスクだけでなく「形質検査」までする意味はあるのですか?
A:はい、非常に重要な意味があります。
形質は単なる「見た目」の問題ではなく、重大な骨格異常のリスクと直結しているからです。
例えば、形質検査の項目の一つに「LMBR1遺伝子」というものがあります。これはいわゆる「狼爪(ろうそう)」に関わる遺伝子です。
トイプードルの場合、狼爪のある子が生まれても生後まもなく切除されることが一般的ですが、実はこの遺伝子を持つ個体同士を安易に交配させてしまうと、「多指症」を発症するリスクが非常に高くなります。
多指症を発症すると、単に指の数が多いだけでなく、骨格全体の形成異常や歩行障害、内臓の疾患など、一生に関わる深刻な異常を伴うケースが少なくありません。
「目に見える部分を処置すればいい」という考えではなく、遺伝子レベルで形質を把握し、科学的にペアリングを管理すること。それが、将来的な歩行異常や骨格トラブルから子犬たちを守ることに繋がります。
Q:形質検査は、ブリーディングの質にどう影響しますか?
A:経験則という「勘」を「確信」に変え、理想の個体をより確実に育むことができます。
例えば、以前、プードルのブリーダーから「濃いレッドを作るにはブラックを交配に加えるべきだ」と言われたことがありました。
しかし、形質検査を行い、遺伝子のメカニズムを正しく理解すれば、それが必ずしも正解ではないことが分かります。
形質検査(毛色遺伝子の解析)を詳細に行うことで、以下のようなことが事前に予測可能になります。
意外な色の誕生:
レッド×ブラックの組み合わせでも、ホワイトに近いクリームが生まれることもあれば、ブラックしか出ないこともあります。
レアカラーの予測:
確率は低いですが、レッド×ブラックの組み合わせでも、ブラウン(チョコ)が生まれる可能性(12.5%など)を事前に把握できます。
「何色が生まれるか分からない」という運任せではなく、55項目に及ぶデータから逆算してペアリングを行うことは、単なる作業ではなく、科学に基づいたブリーディングの醍醐味でもあります。
このように、形質検査を徹底することは、子犬の「健康」を守るだけでなく、「個性(毛色や体格)」を正確に把握するための重要なプロセスです。
Q:トイプードルの遺伝子疾患はどんなものがあるのですか?
A:現在、下記の遺伝子疾患が関連していることが分かっています。
・変性脊髄症(DM)
・フォン・ヴィレブランド病I型(vWD1)
・進行性網膜萎縮症(PRA-prcd)
・先天性巨大血小板減少症
・先天性メトヘモグロビン血症
・ガングリオシドーシスGM2
・新生児脳症
・骨軟骨異形成症
・ムコ多糖症VI
・イベルメクチン感受性・多剤耐性遺伝子(MDR1)
・遺伝性白内障
・進行性網膜委縮症(PRA RCD4)
・高尿酸尿症